第1章

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里奈にかけ直すと、すぐに出た。 「あ、リューマ?明日のスケジュールの件なんだけど……」 里奈は、昨夜(というか今朝)のキスの事は何もなかったかのように サバサバと用件を話始めた。 オレにキスを仕掛けてきたのは、 ナオトと別れて人肌恋しかっただけなんだろう。 オレに本気だったとか、 そうゆう感情は真に受けられない。 里奈は愛し合う本当の意味をしらない。 オレは里奈の用件を聞きながら、買い物袋を広げて、食材を入れようと冷蔵庫を開ける。 そしたらグラタンの皿が二つ入っているのを見つけた。 「…………」 ミユキは夕べ、グラタンを作ってたのか。 『何時頃帰って来れそう?』 ミユキが昨日メールくれていたのを思い出す。 それに対して返事できなかったオレ。 ミユキはオレの返信をずっと、待っていたに違いない。 そして 二つあるっていう事は ミユキも食べないで待っていてくれてたんだ。 しかもサラダもラップして置いてある。 「……で明日は、新店のレイアウトやら店頭に置く服をピックアップして……」 「……あ、里奈。来週火曜日に休み欲しいんだけど調整できる?」 「来週火曜日?」 「ああ。急なんだけど」 「分かったわ。調整してみる」 来週火曜日はミユキとどこかドライブに行こう。 今まですれ違っていた時間を それで補えるとは思えないけど 時間を作る努力はしよう。 すれ違いに慣れてしまったら 隙間はどんどん広がってしまうから。 ミユキと過ごす時間を大事にしたい。 今も これからも ずっと、この先も……。
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