第1章

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ミユキは代々続く商家の娘。 女系が跡取りになる定めで、婿養子にヨシが夫になっていた。 ミユキとオレは愛し合っている。 父親が同一の兄妹で 小さい頃から一緒に育ってきた。 それはお嬢さんと雇われている女中の息子として、幼馴染みのつもりだった。 オレはミユキが大好きで ミユキもオレを受け入れてくれて 成人して、結ばれたと思ったのに おかあが実はミユキの父親の愛人だった。 自分の父親を知った衝撃。 ミユキと近親相姦だった事実。 勿論、そうじゃなくても オレの身分じゃミユキの夫になれる訳でもないんだけど。 近親相姦を知った おかあやミユキの夫が オレとミユキを引き離した。 それでも夜な夜な逢引を繰り返す。 それに嫉妬した旦那様は ミユキとの情事をオレに見せつけるようになる。 アホらしいと思いながら。 オレに嫉妬させたいらしい。 その行為が オレとミユキをどれだけ 欲情させるのかも知らずに。 旦那様との情事を終えるとミユキは 人目を盗んでオレに逢いに来て オレたちは、更に深く愛し合った。 「さっきはお嬢さん、見ているオレに視線を流しては、顔を高揚させて、感じまくっていたね?」 「だってリュウさんも、欲情してたでしょう?それみたらすぐイキそうになっちゃって」 「いやらしい人。オレの気も知らないで。あんな奴より感じさせてあげるから」 「私が欲情するのはリュウさんだけよ」 「ああ、知ってるよ。でもヤツと一緒にイッたお嬢さんは許せないかな」 「それは、リュウさんに見られていたからだってば……」 旦那様と繋がったミユキを上塗りするように ミユキを滅茶苦茶に愛して オレの色に染めてやった。 ミユキが生めるのは奴の子供だけ。 オレはミユキとの子を望んでも 決して叶う事はない夢。 オレとミユキが家族として暮らすなんて 叶わぬ夢。 この叶わぬ夢が来世叶うなら またミユキと巡り逢って愛し合い、 神仏に祝福されて 子を授かろう。
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