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「私、リューマに本気だったのよ……。
リューマがミユキさんと出会う前から。
だけど、リューマはミユキさんと結婚してしまって。
それから ナオトやヒロキと関係持ったけど、やっぱり満たされなくて。
私にはリューマしかいないんだって……
苦しかった。」
里奈が両手で顔を覆って、涙を流して肩を震わせた。
「里奈がオレに対してそうゆう感情を持っても、オレはビジネスパートナー以外の感情はないんだよ」
「…………」
「オレじゃなくても、男なんて巨万といるじゃん。ナオトだって、里奈の事 真剣だったんだし。
里奈も本当はナオトを好きだったんじゃないかって思ったんだけど」
里奈を抱き締めて慰めるのは、オレじゃないから。
「本当の恋愛をしなよ。躰だけを求めるんじゃなくて」
里奈の肩にポンッと手を置いて、そこに慰めの意も込めた。
「……オレ、行くわ。ミユキにも連絡出来ずじまいでこんな時間になっちゃって。
いつか“仕事辞めて“って言われても困るしさ」
里奈は泣くのを辞めて、鼻をすすると、顔上げた。
「家まで送ってく。 今リューマに辞められたら、私、もう終わりだもの」
オレは里奈の車で自宅マンションまで送ってもらい、自室に入った。
連絡もせずに、こんな時間に帰って来て、
どんな顔をしてミユキに会えばいい?
真っ直ぐ寝室に向かって、そーっと中に入る。
ミユキが毛布を頭まで被るようにして眠っていた。
クローゼットを開けて、部屋着に着替える。
そしてスマホの目覚ましをセットして、サイドテーブルに置くと、ミユキが眠るベッドの中に忍び込むようにして入った。
後ろからミユキをそっと抱き締めて
ミユキの髪に顔を埋めて、キスをする。
ミユキは……
オレが早く帰って来るのを待ち望んでいたんじゃないかって思うと
自責の念にかられて、
眠っているミユキに
呟くように言葉をかけた。
「ミユキ……ごめん」
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