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……眠い。
ほとんど寝ていない状態で
しかも、ミユキとあんな事があって気分が落ちてる状態で
里奈のRipshのショップの開店セレモニーはスタートした。
Ripshのブランドを知らないお客様に、
トレンドのポイントを押さえたコーディネートアドバイスを、店内に設置されたミニステージで店長の池谷さんと一緒にレクチャーする。
店内はお客様でごった返していて、お客さまは あまりまだ浸透していないブランドRipshの服を手にしては、自分にあてがっていた。
……人に酔いそう……
店内を回るにも人を避けて歩くのが大変なくらいだ。
「ルイさん!」
昔のファンから呼び止められて、オススメのコーディネートを尋ねられる。
「ルイさんのセンスが活かされてるブランドですよね!デザイナーになられたから芸能界を辞められたんですか?」
20代そこそこのアメカジファッションの男性がレポーターのように訊いてきた。
あ……めんどくせー勘違いだな……
「いやいや、僕はデザイナーじゃないですよ。着る専門です」
「えっ? ルイさんのブランドだと思ってましたよー、なんだー違うのかー」
オレのファンだというお客さまは
驚い様子と残念そうな声音で服を広げてマジマジと見ていた。
引き続き店内をコーディネートのアドバイスに回ってると、広告代理のスタッフに呼び止められた。
「お客さまには、リューマさんがデザイナーって事で勘違いされたままの方がいいんじゃないんですか?
里奈さんとご夫婦なら、同じようなもんでしょう」
「…………」
だから、夫婦じゃないんだってば。
「あのう、どこから回った情報かは知りませんが、オレと里奈は夫婦でも恋人でもありませんよ。オレはブランドをサポートしているだけの人間です」
オレが苦笑しながらそう告げると
広告代理の企画スタッフは、眉根を寄せて言った。
「そんな事実はここには関係ないですよ。
リューマさんのブランドって事でお客さまに認識してもらった方がユーザーは増えますから」
……なんだそれ。
「Ripshのデビューのキッカケはリューマさんでしたよね?」
……確かに
そうだけど。
てゆーか、それって
里奈の存在意義がないだろ……
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