時渡り前

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科目がてんでバラバラなのだ。 しかも学年も違う。 なかなか思うように頭が追い付かないのだ。 「だから…ダニエル電池の仕組みはわかった?」 「おぉー!すっげ、ありがとうお姉ちゃん!」 図解したところでようやく理解した一番上の弟。 「じゃ、お休みー。」 教科書を右手に手を挙げて部屋を出ていった。 まだその下の弟と妹が残っている。 「解けたよ。」 「どれどれ…。」 覗いてみると… 「出来てるじゃない!」 ほぼ完璧に解答していた。 首を傾けてはにかむ妹の様に心臓をぐっと掴まれたような錯覚に陥った 。 それでも少し間違えている所を赤ペンで直す。 「望絵は部屋に戻りなさい。もうできるでしょう?」 「うん!」 こんな調子でどんどん弟妹を自室へ返していった。 一人になった部屋。 ベッドへと背中から倒れた。 そのまま深い眠りに着いた… ー ーーー ーーーーー
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