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【クロードルート】
【どうしたの? ほら、別の世界に行きたいんでしょう? ほら、じゃあ殺さなきゃ】
クロードの杖をつかんでいる右手に力が入る。そして、次の言葉でその手が動いた。
【君の大切なレスカが死んじゃうよ?】
その言葉に突き動かされるように、クロードは杖に仕込んでいた刃を展開させ振るった。
【は……?】
虚空に振るわれたソレは見えない何かを両断する。そして、影のような漆黒のヒトガタが姿を現した。クロードは静かに「そんなに俺の魔力チラつかせておいて、位置がわからないとでも?」とその影に対峙する。
【なん……で……? せっかく禍罪じゃなくなったのに……せっかくレスカを助ける方法を教えてあげたのに……どうして……私を殺したら禍罪に戻っちゃうって言ったじゃん……】
呆然としている影からクロードの右目に蒼い光が移動する。目を押さえ膝をついたクロードに団長は駆け寄り、影――ナイトメアを見据える。
「……誰かを犠牲にしてまで、あの娘は生きようとは思わない」
クロードが立ち上がり、右目から手を放す。宿った蒼い光は静かに燃えている。
【あはははは……! じゃあまた死んじゃうんだ! 今度はどんな死に方するだろうね! 後残ってるのは焼死とか事故死か――】
「それ以上喋るなぁっ!!」
クロードから杖を奪い、団長はその影に突き刺した。その瞬間、黒い炎が影から噴き出して団長を襲う。襲い来る熱と痛みに覚悟を決めた団長を待っていたのは蒼い空だった。
「無茶しすぎですよ団長! なんであそこで突っ込むんですか!」
「え……」
頭上から聞こえてきた声に上に視線を向けると、なんら変わらぬクロードの表情。若干怒ってはいたが、それでもどこか嬉しそうに笑みを浮かべている。自分はといえばその腕に抱かれて空を飛んでいた。
「え……これどうやって飛んでるの?」
純粋な団長の疑問に、「ナイトメアに預けていた生来の俺の能力です。鴉の魔物と人間の子供なんですよ、俺」と翼を一度大きく羽ばたかせてさらに高度を上げる。
「へー! めっちゃかっこいいじゃん! 後で触らせてね!!」
いつもの団長の返答にクロードは「緊張感を持ってくださいよ」と諌めた後、小さく笑う。
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モルドレッドルートとは団長もクロードも違うって話
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