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【稲嶺ゆかり】
「稲嶺!」
稔ちゃんの声がする。私また何かバカなことやらかしたのかな? 一応私なりに一生懸命やっているのにな。
あれ、体が動かない。声が出ない。頭がなんかぼーっとする。風邪かな? バカは風邪ひかないけど、私が風邪を引いたんなら私はバカじゃないってことだよね?
「……、無理なのか。早坂葉月は助けられて、コイツは助けられないのか」
清太郎さんが誰かと話している。ええと、誰だったっけ。そもそも早坂葉月って誰? あれ? やだなあ、また稔ちゃんと清太郎さんにバカって言われちゃう。
「申し訳ありません……」
そもそも稔ちゃんって誰? あれ? どれが稔ちゃんだっけ? ええと……稔ちゃんってどんな人? こんなんじゃまたバカって言われちゃう……。
「俺がやる。……いや、違うな。16班、こればかりは俺にやらせて欲しい」
清太郎さんの右手がゆっくりと私に伸びる。ああ、また撫でてくれるんだ。久しぶりだな、最近は全然してくれなかったもんね。ねえ、清太郎さん。私がバカだから。でも、清太郎さんはたくさん褒めてくれたよね。それってどうしてだったのかな。
「バカじゃねえよ、お前は」
そうかな。そうだと嬉しいな。そういえば清太郎さんは一度も私のことをバカって言ってなかったね。だったら本当なのかな――。
「清太郎さん、ありがとう」
言葉がちゃんと伝わっていたかはわからない。それでも私の頭を撫でる手に小さく力が入った気がして――そこで私の意識は途切れた。
★
稲嶺→浅間の尊敬とか慕ってる矢印はいつまでも変わらないで欲しいっていうアレ。浅間→稲嶺もそんなに悪い感情は抱いていないというアレ。
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