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 一回戦の第1試合は凄惨(せいさん)な形で幕を閉じた。  カザンによってテルの右腕が再起不能に砕(くだ)かれ、試合場の畳が血まみれになったのである。大講堂はさらに残酷なショーを求め、異様な雰囲気になっている。  第2試合は柳田(やなぎだ)金光(かねみつ)と光明寺(こうみょうじ)隆(たかし)の異種格闘戦だった。得意種目は合気道と空手である。お互いに相手を見て、なかなか手を出さなかった。このふたりの実力はクラス内でも中位で拮抗している。クニがつまらなそうにいった。 「消化試合もいいとこだな。どっちが勝っても、つぎに当たるカザンに潰(つぶ)される。いくら秘伝があっても、テルをあんなふうに一方的にやっつけるなんて思わなかった。カザンのやつ、とんでもないな」
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