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「くそ、おれ、岩村のほう応援しようかな」
両者が試合場の中央で向きあった。背の高いジョージでも、視線は見あげる角度だった。身体(からだ)の厚みは倍近くある。スクラムの練習で潰(つぶ)れてしまったのだろう。岩村の耳はブロッコリーのように丸い。ラグビー部がいった。
「なよなよしやがって、女に人気があるからって調子乗ってんじゃねえぞ。おまえの面が前から気にくわなかった」
上から押し潰すように顔を近づけてくる。
養成高校のファンが叫んだ。
「この不細工ゴリラ、ジョージさまから離れなさい。汚らわしい」
観客席が笑い声で揺れて、岩村の顔が真っ赤になった。歯をむきだしていう。
「おまえはぼこぼこにしてやる。ハンサム面を台なしにな」
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