158人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
メイちゃんには彼女でお願いしますと何度も言った。
メイちゃんはしょんぼりして、頭を横に振るばかりだった。
どうにもならなくて、どうにもできなくて、でも飯は作ってくれて、添い寝もしてくれた。
意識するかしないかの違いは大きいものなのかもしれない。
俺の。
そう思ってぎゅうってしていても淋しい。
俺は俺の彼女として扱ってやるっと反抗するように思っても、メイちゃんが一歩下がってしまったその隙間が淋しい。
似合わないって、じゃあ、メイちゃんにはどんな男が似合うんだよ?と。
そこを考えてみた。
背が高くて物静かなイケメンで大人の男なんてものが似合いそうだなと思うとひどく落ち込んだ。
そんなものに俺がなれる気がしない。
そういうなれる気がしないようなものをメイちゃんも俺に似合うと思っているのかもしれない。
でもなっ?
似合う、似合わないなんて、そんなのどうでもよくないかっ?
好きならそれでよくないかっ?
飯友で添い寝友達に戻って、それで満足する俺がいるはずもなく。
リフォームサークルのやつらも夜にこなくなって静かな秋の夜。
添い寝してくれるメイちゃんを頬を膨らませて見る。
どうやったらこの背の高い美人を落とせるのか。
落とせているはずなのに、何かどこかで突っかかっている。
その飛び出した杭を木槌でごんごん叩いて、すとんっと俺のところに落ちてきてもらいたいものだ。
杭となっているものをどうやったら取り払えるものなのか。
メイちゃんは俺の眉間を指先で擦る。
「眉間に皺寄せて何を考え込んでるの?」
鈍い。
考え込んでいるとわかっているのに鈍い。
「メイちゃんを落とす方法。落ちて」
「堕ちてる」
メイちゃんは即答えてくれる。
「好き?」
「メイくん、好き」
ちょっと恥ずかしそうにちゃんと答えてくれる。
なんでこれで彼女じゃないのか。
嫉妬したくないからとかいう添い寝屋の顧客の言葉を思い出す。
ここにどこか割り切るものを置かれているのはわかる。
わかるが、割りきられても俺はやめられそうにない。
「キスして」
求めてみたら、メイちゃんは少し寄ってきて、俺の唇にキスをくれた。
とろーんとなる。
彼女でいいだろと思う。
頭で考えないで、思うままにつきあえばいい。
最初のコメントを投稿しよう!