158人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
いろんな子とつきあいたいわけじゃない。
いろんな子とセックスしてみたいわけでもない。
ただ、つきあったこともないのに、すぐにぽいっとするんだろと言われてもわからない。
理想はもちろん、長くつきあえたらいいなと思う。
メイちゃんより俺のほうが背は低いし、せめてヒール履かないでとはなるだろうけど、そこまで目立って身長差見えるとは思わないし。
自分の心変わりよりもメイちゃんが俺に飽きるほうが早いかもしれない。
晃次みたいな自分より背の高い男がいいとなる可能性のほうが高い。
でもセックスしたいんだろ?
そんな言葉が俺の中に晃次の声で響いてきて、この下心を責められている気がして泣きそうになる。
したかったらダメなのかよっ?
好きでもないのにするんだ?
俺に八つ当たりをくれるあの子の声で煽るように俺の中で問われて、もっと責められている気分になる。
じゃあ、おまえらはどの程度の好きで初めてしたのか教えろっ。
そこに興味は何もなく、そうなったからそうなったくらいにしか答えないだろっ。
なんで俺はしちゃダメなんだよっ?
私のこと、もういいんだ?
彼女の声でそれを聞かれると、俺は喚きまくっていたのも静かになって、どよーん。
おまえ、彼氏いるし。
俺、別におまえの都合のいい男でいたいわけじゃないし。
恋愛したいし。
その相手はおまえじゃなくていいし。
というか、おまえが俺の中で一番邪魔なんだよ。
この状態になってもう半年以上過ぎてる。
いい加減、消えてくれていいものだと思う。
…まずはここに告白でもして、はっきりフラれてこいと俺が俺に言っている気がする。
俺の中から出ていきやがれ。
思っても、泣いているその顔を思い出して。
慰める俺の手を思い出して。
俺の体に寄り添うその体を、そのにおいを思い出して。
胸の奥がぎゅっと締め付けられて泣きそうになる。
新しいもの見つけて、そこに夢中になって忘れてしまいたいって思っても、よくない?
その彼氏があの子を呼ぶ声が耳の奥に残っている。
千代。
千代先輩。
最初のコメントを投稿しよう!