第1章

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「…あっ!」 まただ。また私はこの男に昇らされてしまう。そしてそんな私の表情を上から見下ろし、何も言葉を発しない。その代わりにニヤリと意地の悪い笑顔を見せてくる。それは次の行動への合図でもあるのだけど。 また激しい律動が始まり、男の腰はなめらかに動く。今度は男が気持ちよくなる為の動き。いつもそう。私をイカせてから自分がイク。 「…秋穂、出る。」 一瞬震えた腰を確認してから男の表情を盗み見る。冷静さを少し失った顔。はあ、と低くたまらない音程の吐息。子宮の奥がズクリと動くのが自分でもわかる。 ―そう、私はこの男に心底溺れている。 …恋?…そんなものなら良かった。 男との結婚なんかを夢見ながら、メールでのやり取りなんかを楽しむのだろう。 私は―。 既婚者なのだ。
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