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(すみません、ウォームさん。
やはり相手が悪かったようです)
「じゃあ僕ばかりか、鳳炎のことも?」
(はい。先程、自分の本名を知ったばかりで……。申し訳ありませんが、自己紹介からお願い出来ませんか?)
「……ごめんなさい……」
相手と目が合った瞬間、居た堪れない気持ちになってた自分は、思わず謝罪の言葉を口にした。
少なくとも相手は、雄である自分の事を覚えてる上で助けてくれたというに……。
その雄本人である自分は、相手の事どころか。自分が本物の雄である自信すらない状況である。
相手の気が変わって居場所を失うのではないかと、マイナス思考が働く寸前で椅子に腰かけたウォームが優しく語り掛ける。
「君が悪い訳じゃないよ。災難だったね。
僕の名前は、ウォーム。昔、君に雇われていた傭兵だよ。訳あって、今はスフォームと言う金髪の魔族に雇われているけどね」
――魔族?
英里の世界では、異形な姿で表現されるファンタジー界の悪役だ。
でも金髪って言う事は、人間に近い姿をしている魔族なんだろうか?
それに雇われてるってことは、ウォームも悪者??
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