第3話/現実と理想のギャップ

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 どこの世界に言っても、それなりの知識というものが必要なのは変わりないらしい。  期待していた分、現実と理想のギャップに凹んでしまう。  ――てか、読者受けの展開じゃないリアリティ感いらない。  鳳炎の話が本当であれば、過去の自分は相当凄かったんだろうけどさ。  言葉には出さないにしても、真向いに座ったウォームのガッカリ感が伝わってくる。 「それなら最低限の魔法を教えてから、魔族であるスフォームに会うべきだと思うな」 (ですよね) 「鳳炎が難しいようなら、僕が相手になるし……。剣術は、打って付けの人がいるから紹介するよ」 (助かります。御主人、いかがなさいますか?) 「へ?」  まるで他人事のように会話を聞いていた俺だが、一応話は見えてるつもりだ。  要は、何をするにも本人のやる気の問題なんだろう。 「そりゃあ構わないけど……」 (ホントに使えたりするの?)  記憶が無いから疑っているのではなくて……。今まで過ごしてきた日常からして、実際使えるとは信じられない俺は、疑いの気持ちをテレパシーに乗せて鳳炎に問うた。  すると昔の事をよく知っている鳳炎は、胸を張って言葉を返してくる。 (魔力はしっかり備わっておられますから、大丈夫ですよ)  ――いや、魔力って言われても……。  そんな目にも見えないモノをどう信じろと言うんだろうか?  アニメや漫画だったら、身体から何かしらのオーラが出てたりするんだろうけどさ。  残念ながら、今の俺に魔力を感じる事は出来なかった。 「あの……。もし、何か不安な事があれば言ってくれないかな?」  どうやらウォームは、俺のテレパシーを受信出来ていないようだ。俺と鳳炎を交互に目配せをして気を遣ってくれるが、どっからどう説明していいのか分からず……。戸惑いの色を浮かべて鳳炎にアイコンタクトを送ると、気持ちを察した鳳炎が早速代弁してくれる。 (ウォームさん。御主人は、自分に自信がないだけですよ。今まで魔法とは縁が無い世界で暮らしていましたから……) 「そうなんだ。じゃあ、こんな簡単な魔法でも喜んでくれるかな?」  具体的にどんな世界なのか伝えなくても、魔法に縁が無い世界と聞いてウォームが俺に見せてくれたのは、手の平に揺れる赤い炎だった。
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