第5話/記憶のリスクと代償の末

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 でも、それは鳳炎から話を聞いただけにすぎない情報だ。薄暗い雲が広がる空に一筋の光を求めるように非常階段を昇りながら、鳳炎に心の内を明かす。 (せめて、その強さだけでも証明することが出来たら……) 「自信に繋がると思うんだ」  すると鳳炎は、俺の気持ちを確かに受け取ったように肩の上から俺の耳元に囁くようにテレパシーを送る。 (失敗を恐れてはいけませんよ、御主人。魔法は、己の意志の強さとイメージを神に伝える技です) 「分かってる」  でも今の俺には、魔法が使えたとしても加減が出来るとは考えられない。だから閃いた手段は、鳳炎の力を強化させることだった。 「案内の時、グレイが<魔石に蓄積した魔力を他のエネルギーに転換させるんだ>って言ってたの、覚える?」 (はい) 「あの話、嘘じゃないと思うんだ」  思い出した記憶が確かなものだとしたら……。あの魔石は、魔力を溜め込むだけが能じゃない。加工すれば魔法アイテムとして活用されるほど、力を望んだ者に合ったエネルギーを供給してくれる代物のはずだ。 (だから魔石の力を使って、鳳炎の力をチャージしようと思って)  つまり俺が考えている魔法は、魔石の特性を生かしたエネルギー補給である。  「前から考えてたんだけど……」 (もしかして人型にならないんじゃなくて……。なれない程、魔力を疲労してるじゃないかな? って)  実際、今でも空を飛べる翼をもっていながら俺の肩にしがみ付いている状態だ。  まだ出会って、一週間も経ってないけど……判る。  鳳炎は、生真面目で優しい性格だ。  楽が出来るからと、主の力に頼るような面倒くさがりでは無いはずである。
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