第1章 新しい命

12/14
437人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
***** 「まだ米粒くらいなんだろうけど・・・この中で生きてるんだな、って思うと、何だか愛しくなるね。」 二人でゆっくりと湯船に浸かっていると、亮が後ろから私のお腹をさすりながら言った。 「フフッ・・・男の子かな?それとも女の子かな?亮は、どっちがいい?」 「オレは・・・女の子がいいな。カワイイ女の子。・・・まぁ、元気ならどっちでもいいけど。」 「うん。私も、どっちでもいい。」 そう言って振り向くと、ニッコリと笑った亮の顔が近づいて来た。 「・・・フフッ。」 そして、お互いの唇が軽く触れ合うと、どちらからともなく笑いが零れた。 「とりあえず・・・風呂から出たら、みんなに報告しないとな。『オレたち、明日結婚します!』って。」 「・・・へっ? 明日?・・・早ッ!」 あまりの急展開に、驚いて目をパチクリさせている私を見て、亮は・・・ 「善は急げ、って言うだろ?オマエの気が変わらないとも限らないし・・・(笑)」 「そんな・・・変わるわけないでしょ。」 「バカだな、オマエ。言っとくけどね、世の中に『絶対』はないの!」 そう言って、亮は私の頬を軽くつまみながら、得意気に「フフーン!」と笑った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!