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優太は基本人見知り滅多に自分と仲のいい人としか話さないが、レオの持前の明るさとコミュニケーション能力により、優太はレオに心を開いていた。だから優太はレオに言った。自分の中にあった思いを。
「君は言った。この世界のロボットがかわいそうだと。現代、ロボットは人口の三割ほどいてその数はもう把握できないほどに多くなった。だからこの世界にロボットの法律が出来てロボットの為の警察までできた」
国際ロボット連盟。ロボットの技術共有と法律を守るために発足された連盟。ほとんどの国が加盟している。もちろん日本も。そんな連盟では加盟する際、絶対守らなくてはいけないことがある。それはロボットの警察を作る事。ロボットの法律を守らせるためである。日本に存在するのは、日本ロボット局軍事部という名前で、通称『局軍』と呼ばれている。
「日本にも確かあるはずだよね。彼らは君にひどい仕打ちをしたらしいじゃないか。初めて作った大事なロボットを君は「言わないでください」
ずっと黙って聞いていた優太は重い口を開いたかと思うとその声は震えていて、彼自身も自分の胸を押さえながら肩を震わせている。
「レオ君……、僕は……できない」
「どうして!?」
「できない!」
「優太君!」
優太は一言いうとその場から出て行ってしまった。奏が呼び止めても見向きもせずに。
「どうしてなんだ…。連盟を憎んでいる気持ちは一緒なのに」
レオはそう言って拳を机に叩きつけた。怒っているんじゃない。これは、
――悲しみ。どうしてレオ君も優太君も、そんな顔をしているの。
わからない二人の心に奏はただそれを見ることしか出来なかった。
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