第1章

2/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
とんとんと仁王立ちにされた右足の爪先が床を叩く。 それは次第に間隔が狭まり、勢いがついてくる。 これは私の、イライラしている時の癖だ。 明るい色の、フリフリのワンピースを着て。 ライブ会場の裏口に立っている。 勿論不審者ではない。 では何故こんなところにいて、イライラしているのかというと、とある人物が約束の時間を20分も過ぎているのに来ない事が原因だった。 とある人物というのは―― 「いつになったら来るのよぉあのくそ兄がぁ!」 …………私の兄、如月シンタローである。 「いや、だからその、ち、違うぞ?寝坊とかじゃなくてだな、そ、そう!迷子の子供をあやしてやったり、重そうな荷物を抱えてるおばあさんを助けたり、そういうあれだ。つまりはその……」 「……お兄ぃちゃぁぁん……?」 「ひ……っ!!」 長ったらしく言い訳をするニートジャージにイライラが最高潮となり、静かな怒りを燃やすと、兄は情けないことに震え上がっている。 「モ、モモ?」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!