第1章

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「私はね、別に遅れたことに関してはた・い・し・て怒ってないけどね?確かにちょっとワクワクしてたから途中で裏切られた感とか感じてなくもないことはないけど、まあお兄ちゃんの事だし、久しぶりのお外で緊張とかしてるだろうなぁとか?思ったし。暑いし倒れたりしてないかな?とか心配したし。だから今度から何か連絡入れて、とは言わせてもらうよ?でもまあそれはいいの。ただね。」 すう……と息を吸い込むと、私はできるだけ不快感が伝わるように工夫しながら、 「言い訳をするのだけは、やめて。」 とだけ、言った。 「あ……悪かった。」 素直に謝罪する兄。 まあ謝ったんだし、許すとしよう。 「いいよ。その代わり、今日はとことん相手してもらうからね?」 そう、今日はライブ終了後に兄と二人で遊ぶ約束をしていたのだ。 とはいえ、自主的自宅警備員である兄を更正させるための計画その1『長時間外に出る』をクリアするための取り決めなので、普通の兄妹のお出掛けというのとは少し異なるだろうが。 「とにかく!!出発するよ!」 「へーい。」 元気な私の掛け声と、兄の気の抜けた返事を合図に私たちの任務(如月シンタロー更正計画第一プログラム)が開始された。
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