第1章

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完璧だ。 私は思う。 私のセンスは最高だと。 私によって選び出された服を見て改めて確信した。 1つはハリネズミの写真と『好き!』の文字が大きくプリントされた白いパーカーに、緑色のカボチャパンツ。茶色い肩掛けの鞄。そして黒いハイソックスと白いシューズという組み合わせ。 もう1つは、白い生地のブラウスに、『愛!!』と黒い字でプリントされた白のカーディガン。黒い透けるような生地のスカートと白いタイツに黒いハイヒール。鞄は夏っぽい麦わらの表面を白い布が包んだデザインだ。 どちらの組み合わせも私なりに考えた最高のコーディネート。 だが、予算上どちらか片方しか買えない。 そこで兄の出番だった。 「どっちが、いいと思う?お兄ちゃん。」 「…………いや、どっちもダメだろ。なんか変だし、センス無さすぎ。っていうか時間かかりすぎだし、疲れたし、もう帰って良いか?」 「……へ?」 「いや、疲れたんだよ、大体何で俺が外に出ないといけないんだよ。」 「……」 はぁ? 何をほざいてるんだこの糞兄が。 こっちは、このクズみたいなニートジャージのために色々考えて、ライブで疲れた身体に鞭打っているというのに…………
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