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「そろそろ、お開きにしようか。」
坂井さんがそう言ったのは、飲み会が始まって2時間が経った頃だった。時刻は21時を少し過ぎていた。
やはり、パートのおばちゃん達には家庭があるので二次会というものはない。
「また、仕事場でねー!」
酔っぱらって意気揚々に帰っていくおばちゃん達を見送った。
そして、長谷部と二人きりになる。
「じゃあ、そろそろ俺も。。
そう言いかけたときだった。
「何か物足りなくないですか?」
(え?)
「もう一軒行きませんか?」
(いやいや、あんた充分過ぎるほど飲んでただろっ!)
心の中で突っ込まずにはいられなかった。
「あー、俺はもういいかなー、なんて。。」
そう言い終わるのを待たず、長谷部はすごく寂しそうな顔をしてうつむいた。
「行きましょう!行きましょうもう一軒!」
その寂しそうな顔を見るといたたまれなくなり、つい咄嗟に口から出ていた。
俺がもう一軒行こうというのを聞いて、長谷部はすごく嬉しそうに、次どこ行きます?と言ってきた。
店にいるときは気がつかなかったが、恐らく、長谷部は完全に酔っている。
長谷部は酔うと人懐っこくなるらしい。
顔はイケメン、酔うと人懐っこくなる。
なんという、天然人たらし。。
これは、男でも可愛いと思ってしまうだろう。
何てことを考えてる俺も相当酔っていたと思う。
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