第1章

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長谷部は俺の頭を撫でながらにこやかな顔をしている。 「あの、何してるんですか?」 素朴な疑問。 それを聞いて長谷部は、はっと我に返り、 「す、すみません。。久瀬さんを見てたら弟を思い出して。。」 と、気まずそうにしている。 「弟さんが、いるんですか?」 そういえば、長谷部の家族構成は少し気になるなと思い、尋ねた。 「はい、弟が二人います。4つ下と6つ下なんですけど、可愛いんですよー。」 長谷部の顔がデレデレになっている。。 でも、4つ下と6つ下って二人共もう成人してるんじゃ。。成人の男捕まえて可愛いって。。男兄弟ってそんなもんなのか? 「俺が抱きつこうとしたら、二人共死ぬほど嫌がるんですよ。それが可愛くて、可愛くて。」 なるほど、全くもってわからん。 「あの、兄弟は弟さん二人だけなんですか?」 「はい、男三人兄弟で、僕が長男です。久瀬さんはご兄弟は?」 「姉と俺の二人です。」 「おお、お姉さんかあ。羨ましいなあ。僕も欲しかったなあ。」 「小さい頃は喧嘩ばかりしてて、とても良いもんじゃなかったですよ。まあ、今となってはお互い大人になって、善き理解者になりましたが。」 「へえ。」 長谷部は興味深そうに相槌をうつ。 「それにしても、長谷部さんて弟さんが大好きなんですね。」 長男というのは普段の長谷部を見ていれば納得できるが、まさかブラコンだったとは。意外というか何というか、思わず笑ってしまった。 「何が可笑しいんですかあ」 と、長谷部が笑いながら怒ったふりをする。 「あ、弟達の写メ見ますか?」 唐突な提案に食いつかずにはいられなかった。 「見ます!見ます!」 恐らく、弟たちも美形なのだろう。美形三兄弟。。世の中なんて不公平なんだ。。そんなことを考えながら待っていた。 コレです、と長谷部が差し出したスマホの画面にはイケメンが3人写っていた。 やっぱりか。。何故かがっかりしてしまった。 「これ、さっき、パートのおばちゃん達に見せたらさぞかし盛り上がりましたよ。」 そんなことないですよと長谷部は言いながら優しくスマホの画面を眺めていた。 本当に弟達のことを大切にしているんだなと思った。
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