32人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫です。気にしないでください。」
優しい声が俺を包む。。
「俺、どのくらいの間寝てました?」
「2時に店出たから3時間半くらいですかね。」
「そ、そんなに。」
その間ずっと長谷部は俺に付いててくれたのか。。申し訳なさすぎる。
「本当に、すみませんでした。」
「だから、大丈夫ですって。それより気持ち悪くなったりしてませんか?大丈夫ですか?」
「それは、大丈夫です。全然気持ち悪くはなってないです。」
「なら、良かった。」
なんて、出来た人なんだ。俺だったら文句の一つも言っているかもしれない。
「あ!あの二軒目の居酒屋のお会計いくらでした?お支払いします。」
「ああ、いいですよ。誘ったのは僕ですし。」
「そんな訳にはいきません!こんなに迷惑かけてお金まで払わないなんて。。そんなことできません!」
俺は必死だった。
「寝てただけじゃないですか、迷惑ではないですよ。まあ、少し心配はしましたが」
長谷部がニコッと笑った。
「で、ですが。。」
困った。。長谷部は迷惑じゃないというけど、店でいきなり寝出して、公園まで運ばせ、3時間半もずっと付いててもらった。。どう考えても迷惑以外の何でもない。。
困っている俺を見て、長谷部が口を開いた。
「じゃあ、今度一緒に飯食いに行きましょう!久瀬さんの驕りで。」
「は、はい!是非!」
「じゃあ、約束ですよ?」
長谷部の笑顔は早朝の5時半でも爽やかだった。
「そろそろ、帰りましょうか。」
長谷部が切り出す。
「あ、はい。こんな時間まで本当にありがとうございました。」
いえいえと長谷部は言いながらベンチから立ち上がった。
「じゃあ、また仕事場で!おやすみなさい。」
「はい、また!おやすみなさい。」
俺は帰っていく長谷部を見送り、またベンチに座った。
やらかした。。後悔の念が一気に押し寄せる。と、同時にあの夢が脳裏を過る。
なんで、あんな夢を見てしまったのか。。思い出すだけで顔が熱くなる。
はぁっと大きな溜め息をついた後、俺は家に帰ることにした。。
最初のコメントを投稿しよう!