第1章

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「大丈夫です。気にしないでください。」 優しい声が俺を包む。。 「俺、どのくらいの間寝てました?」 「2時に店出たから3時間半くらいですかね。」 「そ、そんなに。」 その間ずっと長谷部は俺に付いててくれたのか。。申し訳なさすぎる。 「本当に、すみませんでした。」 「だから、大丈夫ですって。それより気持ち悪くなったりしてませんか?大丈夫ですか?」 「それは、大丈夫です。全然気持ち悪くはなってないです。」 「なら、良かった。」 なんて、出来た人なんだ。俺だったら文句の一つも言っているかもしれない。 「あ!あの二軒目の居酒屋のお会計いくらでした?お支払いします。」 「ああ、いいですよ。誘ったのは僕ですし。」 「そんな訳にはいきません!こんなに迷惑かけてお金まで払わないなんて。。そんなことできません!」 俺は必死だった。 「寝てただけじゃないですか、迷惑ではないですよ。まあ、少し心配はしましたが」 長谷部がニコッと笑った。 「で、ですが。。」 困った。。長谷部は迷惑じゃないというけど、店でいきなり寝出して、公園まで運ばせ、3時間半もずっと付いててもらった。。どう考えても迷惑以外の何でもない。。 困っている俺を見て、長谷部が口を開いた。 「じゃあ、今度一緒に飯食いに行きましょう!久瀬さんの驕りで。」 「は、はい!是非!」 「じゃあ、約束ですよ?」 長谷部の笑顔は早朝の5時半でも爽やかだった。 「そろそろ、帰りましょうか。」 長谷部が切り出す。 「あ、はい。こんな時間まで本当にありがとうございました。」 いえいえと長谷部は言いながらベンチから立ち上がった。 「じゃあ、また仕事場で!おやすみなさい。」 「はい、また!おやすみなさい。」 俺は帰っていく長谷部を見送り、またベンチに座った。 やらかした。。後悔の念が一気に押し寄せる。と、同時にあの夢が脳裏を過る。 なんで、あんな夢を見てしまったのか。。思い出すだけで顔が熱くなる。 はぁっと大きな溜め息をついた後、俺は家に帰ることにした。。
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