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「15時までにこれよろしく。」
俺は、就職活動に失敗した、現在25歳のフリーター。スーパーで惣菜を作るアルバイトをしている。
「はい。」
時給780円でも遣われるだけ遣われる。
それでも、生きていくためには仕方がない。
パートのおばちゃんと話すのは楽しいし、夕方から来る高校生と話すのは、自分の昔を思い出す様で懐かしくて好きだ。
(もうこのままでもいいかも)
ぬるま湯に浸かると抜け出すには難しい。
楽しく仕事出来ればそれでいいか。。そんな風に思い始めた頃だった。
「久瀬君、こちら今日から入った長谷部君。色々教えてあげてね。」
「長谷部です。よろしくお願いします。」
そう挨拶して、軽くお辞儀した長谷部という男は、自分と同じ歳くらいの爽やかな男だった。
「よろしくお願いします。」
俺はこの手の人間が苦手だった。25歳で一度も就職をしていないという後ろめたさが、そう思わせていた。
初日は坂井さんという女性のパートの人が、長谷部を教えていたので、あまり関わること無く一日を終えた。
「お疲れ様でした。」
俺はタイムカードを切って、更衣室へ向かった。
(憂鬱だ。。)
長谷部は明らかに学生ではない。恐らく転職中に空いた時間、短期で入って来たのだろう。
今までにもそういう人はいた。そういう人とは大体、まず、年齢の話しになり、その次に、就職しないのかという話しになる。就職する気が無いわけではないが、そういった話題になると気が重くて仕方がなかった。
はぁ。。
溜め息を吐きながら着替えを終え、更衣室を後にする。
裏口のドアを開けると、雨が降っていた。
雨は嫌いだ。
俺は、肩を落として帰路に着いた。
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