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「資格の勉強は捗ってますか?」
前から気になっていた。
「今、追い込み中です。来月試験なんで。」
「試験、来月なんですか。」
長谷部はスーパーにいつまでいるんだろう。。
「もし、試験に受かって資格とったら、そこから直ぐに就職活動ですか?」
「そうですね。受からなかったとしても、始めるかもしれません。」
「そうですか。」
「久瀬さんは就職活動しないんですか?」
「やらなければと常に思っているんですが、なかなか腰が上がらなくて。」
学生時代の就職活動の日々を思い出す。
周りの人達が内定を貰っていく中、内定を貰うことができなかった自分。
そして、今はもう新卒ではない。確実に学生時代より厳しい就職活動になるだろう。
「そうですか。恐いですか?」
「え?」
「就職活動始めるの。」
「はい。恐いです。」
話し相手が長谷部でなかったら、恐らく俺は、あれこれと言い訳をして自己弁護をしていただろう。誰かに否定されたり、責められるのが恐くて。
でも、長谷部なら優しく聞いてくれると思った。否定することも肯定することも無く、ただ受け止めてくれるのではないかと。
「今のままでいいんですか?」
長谷部の口調はとても優しい。
「いえ、ダメです。わかってるんですけど。。」
「大丈夫です。久瀬さんなら。」
「え?大丈夫って、何が?」
「もう一度頑張れる力を持ってると思います。」
一見、無責任に感じるその言葉を、長谷部に言われると、そうかもしれないと思ってしまう。長谷部が言うなら俺はまだ出来るのではないかと。
「お待たせいたしました。」
店員がオムライスを運んできた。
その瞬間、長谷部の顔が子供の笑顔の様に輝いた。
本当に、この人は。。
不思議な人だ。
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