第2章

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「あの、何してるんですか?」 長谷部の素朴な疑問。 「長谷部さんを見てると弟を思い出して。」 「久瀬さんに、弟さんいないじゃないですか!」 長谷部が笑いながら言う。 「はい、いません。飲み会のときのお返しです。」 俺も笑いながら答える。 長谷部は参ったなあと言いながら運転を続ける。 「もう少しで着きますよ。」 長谷部がそう言ったとき、車は山道を進んでいた。 どこに行くんだろう? 俺は車を持っていないので、こんなとこまできたことがない。 「着きました。」 長谷部がそう言ったので、辺りを見回してみたが、真っ暗で何も、見えない。 「長谷部さん?」 俺はハテナを頭に浮かべながら長谷部の方を見た。 すると、長谷部は少し話しましょうかと優しく微笑んだ。 「あの、長谷部さんは前の彼女とどれくらいつき合ってたんですか?」 長谷部の提案を受けて、気になっていたことを聞いてみた。 長谷部は、正面を見たまま静かに話し始めた。 「彼女とは高校2年のときに知り合いました。」 「たまたま同じクラスになって、たまたま隣の席になりました。」 「僕は彼女に一目惚れしました。生まれて初めての一目惚れです。」 俺は黙って、長谷部の話しを聞いた。 「高校3年になる直前に彼女に告白しました。もしかすると、違うクラスになってしまうかもしれないと思って。」 「彼女の答えはノーでした。あまり喋ったこともない人とはつき合えないって。 僕、初めての一目惚れで、緊張して、一年間まともに彼女と話したことなかったんです。」 「でも友達からならって彼女は僕に優しく笑いかけてくれました。それで、友達から始めることにしたんです。」 長谷部は昔を懐かしむかの様に、遠くを見つめながら話した。
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