第1章

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「久瀬さんも明日の飲み会に参加するんですか?」 長谷部がいきなり話しかけてきた。 「ああ、はい。参加しますよ。」 笑顔を作って、そう答えた。 「僕も参加するんですよ。楽しみですね。」 そうですねと返しながら、飲み会に参加することを激しく後悔した。と、同時に何故ここまで長谷部を避けたがるのかと、ふと疑問に思う。 確かに、俺にとって長谷部は苦手な年頃の人間である。でも、それは就職に関することを話すのが嫌なだけで、長谷部自体が嫌な人という訳ではい。というか、むしろ良い人だ。 俺は、あまり話さないけれど、パートのおばちゃん達とはよく話している。とても優しい口調で、聞いていると安心感を覚えるほどだった。 長谷部に問題があるのではない。問題があるのは自分自身なのだ。俺という人間は自分が思っているほど良い人間ではないらしい。 長谷部を見ているとその事実を実感させられる。だから、避けてしまうのだろう。 そう結論を出し、仕事をする。 (明日の飲み会行くのやめようかな。)
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