第1章

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飲み会を開始して1時間半が経過。 おばちゃん達の世間話と職場の噂話しは留まるところを知らないといった状況だった。 そして、長谷部はというと、相変わらずメニュー表とにらめっこ。 (あんた、どんだけ飲むんだよ。。) まさか、長谷部がここまで飲むとは。。 軽く3リットルは飲んでいると思う。。 「ねえ!ねえ!」 野村さんが長谷部に話しかけた。 「長谷部君って彼女いるの?」 突然の質問に長谷部は一瞬驚いた様子だったが、直ぐに笑顔で 「いませんよー。」 と、答えた。 「えー、男前なのにもったいない!」 野村さんは、すごく残念そうに言った。 俺も、横で聞きながら確かにもったいないなと思った。俺がもし長谷部の様な外見だったら。。きっとやりたい放題しちゃうんだろうな。。とか、考えて自己嫌悪に陥った。恐らく、イケメンにはイケメンの苦労がたくさんあるのだろう。 「ここ、4年間ほどいないです。」 「え!?4年も!?」 野村さんとハモってしまった。。 なんか、恥ずかしい。。 長谷部は俺の食いつき様に驚きながらも少し嬉しそうに微笑んだ。 「前の職場が、その、過酷といいますか。。残業が多くて、あまり彼女に会うことができなくて、4年前に振られちゃいました。」 はにかみながら話す長谷部は、少し寂しそうだった。 「で、その後も仕事が忙しくて彼女作る暇なかったんです。」 野村さんと俺は静かに長谷部の話しを聞いていた。
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