第1章

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「ところで、久瀬さんは彼女いるんですか?」 長谷部は自分の話しを終わらせて、俺に話題をふってきた。 「俺も、今はいません。2年前に別れてしまって。」 「えー、良い歳した男が二人とも彼女いないのかー。」 野村さんがつまらなさそうに言う。 俺と長谷部はすみませんと苦笑いした。 その苦笑いを不満そうに聞き流し、野村さんはおばちゃん達の方へ戻っていった。 残された俺と長谷部の間に沈黙が訪れた。 すると長谷部が、 「久瀬さんて、どんな女の子がタイプなんですか?」 と聞いてきた。 「俺は、少しぽっちゃりした子が好きです。ご飯を幸せそうに食べる子を見ると、可愛いなって思います。」 普段、バイト先ではプライベートなことはほとんど話さなかったので、なんか照れくさかった。 「あ、分かります!ご飯をいっぱい食べる子がいいですよね。」 「そうなんですよ、んで、抱きしめたときの柔らかさと多少の反発感が何とも言えなく心地良いんですよ。」 「うんうん」 長谷部は深く頷いた。 まさか、長谷部が分かってくれるとは。。 「何か意外です。長谷部さんはすらっとしたモデルタイプの女の子が好きなのかと思ってました。というか、そういう人が似合ってそう。すげえ、画になると思います。」 「よく言われます。」 悪戯っぽく笑いながら長谷部が答えた。 「否定しないんですね。」 俺も釣られて笑ってしまう。 「えへへ」 憎めない人だと思った。自分で男前だと分かっているのだろうが、全然嫌みに聞こえない。不思議な人だ。
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