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ある日、彼はとても遅くに帰ってきた。
ブランデーと紅茶の香りをさせながら。
「どうして今日は一度も顔をだしてくれなかったんだい、」
少し怒りながら彼に背を向けたまま語りかける
「…これを貴方に買いにいっていました」
目の前に回り込み、彼が差し出したのは小さな包みに入った四つのマカロンだった
「遠方で限定スイーツを売っていたもので…貴方なら喜んでくれるだろうと…心配させましたね」
すまなさそうに笑っている彼に俺は思い切り飛びついた
「い、いきなりなんですか?」
「今度からちゃんと、そういう大事なことは伝えてから行ってくれないかい、」
「…寂しかったんですね」
「寂しくなんかなかったよ、お菓子が食べられなくて不満だったんだよ、」
図星を突かれわかりやすい嘘をつきながら、彼が差し出すマカロンを受け取って座り直す
「…はいはい、」
彼はマカロンを食べている俺に覆いかぶさって抱きついてきた
「わかっていますよ、」
ひどく安心したように思う
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