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非常事態だというのにそんな時でも表情を変えない女神に驚きながらも王はその凛々しい顔に頷いた。
「それでは後の詳細はお願いします」
王の承諾を受け取ると女神は頼みの相手であるトップに礼をして物音を立てずに部屋を出て行った。
部屋に残った僕は少しばかり不安を表情に表したが王が気にした様子が無いのと三王子の一人である事を思い出してやめた。
「大丈夫かな、女神……」
早くも鬼人は心配を口に出しているが。
表情は見えないが恐らく落ち着かない表情をしている彼に王は優しく微笑んだ。
「心配はないよ。
女神の強さは私が保証する」
三王子女神は何かと謎に包まれた人物だ。
常に一人で行動し、任務も一人。
その為誰も女神の姿を見た事がない、と言われていた。
見るのが叶うのは女神に心奪われた哀れな魂だけ。
しかし実力は誰もが恐れていて今まで受けてきた任務で失敗した事は一度もない。
それが潜入だろうが、暗殺だろうが。
そして今夜もそんな女神に心を奪われた二十の魂は月を後ろに赤く散っていった。
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