プロローグ

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世界で最も大きな国ソレイユ皇国の最大勢力"聖書"には多くの異能者達が集まり、その誰もがトップクラスの実力者だ。 そして彼らの上に立つ者"王"の命令によって"三王子"と呼ばれる二人が珍しく顔を合わせていた。 任務などでは余程の事がないと共闘しないこの二人は殆ど顔見知りに等しい。 そもそも顔も知らないのだが。 そればかりか怯えられているとさえ思っている鮮やかな蒼色のマントを羽織った男は仮面の下で密かに眉を顰めてみせた。 その険悪な雰囲気を感じ取ったのか前に立っている赤いマントを羽織った男がビクリと肩を揺らす。 血で染めた様な真っ赤なマント。 それは彼の二つ名の由来の為だった。 怯えている男の二つ名は「血まみれの鬼人」。 今のおどおどした雰囲気とは正反対な二つ名だがこれでも三王子の一人である。 硬そうな仮面にスッポリと隠された素顔はどんな表情なのだろうか、と気になる所だが三王子は皆顔を隠している為見る事はできない。 かくいう僕も仮面で鼻先まで覆い隠している。 仮面の事を考えているとつい自分のが気になってしまい、なめらかな仮面の表面をそっと撫でた。 三王子は三王子という名称の通り三人存在する。 一人はそこの「血まみれの鬼人」でもう一人が「蒼天の竜」……僕だ。 後一人は最近着任したばかりで姿も見たことがない。
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