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不意に木の扉がノックされた。
「どうぞ」
応えると扉はゆっくりと開かれ、現れたのは今さっきまで考えていた"王"だった。
三王子とは違い、王は顔を隠してはいけない決まりになっている為整った顔と柔らかい笑みを浮かべた彼が部屋に入ってくる。
途端に空気がピリッと緊張感が増した。
あの鬼人でさえも背筋をピンと伸ばし、僕と同じ様に膝まづいた。
「……いいよ、そんな改まらなくても」
そんな僕らに投げかけた言葉は表情と同じく穏やかで優しい声。
僕と鬼人は素早く起き上がって礼をするだけにした。
「二人は揃っているね」
仮面のついた僕達の顔を見た後王は満足そうに頷き、パン、と一つ手を叩いた。
「失礼ですが、王。
まだ女神が来ていな…」
その言葉が言い終わらない内に王は笑みを深くさせ、木の扉が音を立てて開かれた。
そして現れたのは美しい少女。
金色に光る長い髪に大きなぱっちりとした瞳。
肌は雪の様に白くそれでいて唇は薄い桃色。
これまでに見たことがない程の美貌の少女だった。
その少女はワンピースの裾を揺らして部屋に入ると僕らには目も向けず王の隣に立った。
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