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暫くフリーズした僕はそれからそれを無意識の内に誤魔化すかの様に珍しく声を荒げた。
「っ…!……王の隣に立つとは無礼ですよ!」
頬が微かに熱を持っている気がする。
放った言葉とは関係のない事が頭の中を回っていた。
「蒼天の竜、構いません
……それと鬼人は大丈夫ですか?」
しかしやんわりと言葉を窘められて僕が罰の悪い思いをしながらも引き下がると今度はさっきから動かない鬼人に目を巡らせた。
しかし、彼は聞こえていないかの様に直立不動を続けている。
「鬼人!」
僕が呼びかけても反応はなし。
王も困った様に首を傾けた。
少女は無反応だ。
「ん~ 大丈夫? 仕様が無いな
『圧力』」
そう王が発した瞬間ピクリとも動かなかった鬼人の身体が何かに押しつぶされるかの様に床に落ちた。
「うあ……」
口からは声が漏れ、身体から硬い物同士がぶつかり合った様な野太い音が出た。
人間が出す音ではない。
これは彼固有の"異能力"だ。
その名も『硬化』で名前の通り自分の身体が硬くなるという能力である。
それ故彼の身体は例え鈍器で殴られても上空から落下しても傷一つすることはない。
だからこそこの荒技は最適だった。
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