プロローグ

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彼が地面に伏したのも王の異能力による為。 王の『圧力』は対象の人物やものに圧力をかけ、かけられたものはその力に耐えきれず意識を失ったり、時には命を奪うこともある。 強力なので一般人が受ければ一溜まりもない。 その分『硬化』の異能力を持つ鬼人には力が半減されるのだ。 「わ! すみません」 意識を取り戻した鬼人は慌てて頭を下げて無礼を詫びるが元々そんなに気にしていなかった王なのですんなりと許した。 心が広いのも彼が人気の理由でもある。 「……それじゃ本題に入ろっか」 その場が落ち着いた所で王は隣の少女を一目見てから口を開いた。 相変わらず彼女の表情は変わらない。 「今日呼んだのはある任務があるからだ」 「……任務、ですか?」 三王子を全員呼ぶ程の任務とはどんな重要で危険なものなのだろうか。 僕と鬼人は表情をかたくして次の言葉を待った。 「任務は我々の敵対組織"悪神"の調査だ」 "悪神"とは世界的に悪名を轟かす殺人集団である。 その組織の殆どの者が異能力者で個々の実力も高いので本来なら潰す筈なのに二つの組織は長年争い合っていた。
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