プロローグ

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「……ソレイユ学園には"太陽の欠片"が隠されています」 感情を抑えた僕と違って淡々と告げた少女の言葉に鬼人はともかく僕も首を傾げた。 太陽の欠片? 「太陽の欠片とは異能者の心臓であり、能力の源です。 これは極秘とされているものですが異能者の心臓は一般の心臓よりも赤く速い心拍数をしています。 その為致命傷を負ったとしても普通より治り易いのです」 確かに僕ら異能者の身体は一般より強く頑丈でちょっとの怪我じゃ痛くも痒くもない。 僕は無意識に手の平で左胸に触れた。 心臓が波打っている。 「……十年程前、ある異能者が命を落としました」 心臓の忙しなく打つ鼓動を確かめていると少女が声音も変えず静かに言った。 それはまるで物語の様。 「彼はとても強大な能力を持っていましたが人々を救っていく度皆がその強い能力に彼を恐れる様になりました。 ある日彼は殺されました。 大きな街の中央で救った人々に無惨にも火炙りにされたのです。 そして跡形もなくなった彼の死体の灰から真っ赤な宝石の様な石が出てきました。 それはまるで彼自身の血の様で…怨念を恐れた人々は聖職者である者にその石を預けました。 その燃え盛る太陽の様な石を人々は"太陽の欠片"と名付けました」
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