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そこで少女は自身の左胸へと手を伸ばし、心臓の鼓動を確かめた。
「ソレイユ学園はその聖職者の孫が理事長を務めており、太陽の欠片もソレイユ学園に保管されているという訳です」
話し終えた少女に王は満足そうに頷いた仕草をすると僕らを見つめた。
彼女が紡いだ物語は聴いた事がなく、恐らく何年もの間ずっと隠されていたのだろう。
「……太陽の欠片と何故それがソレイユ学園にあるかは分かりました。
しかし悪神は何故それを狙っているのですか?」
女だからと手加減はすることはない。
僕は強くしっかりとした口調で尋ねた。
「太陽の欠片は力が強い程赤みを増し、形となっていく。
一つの物体となったそれは恐ろしい能力を持っているのです。
……そう、下手すれば世界が滅びる程の、強大な力。
悪神はその力を狙っているのです」
僕の口調に怯むことなく答えた少女の台詞はとても分かり易く、それでいて心が篭っていない無機質の様なものだった。
その冷たいオーラと圧倒的な美しさのせいで無意識に少女を見つめてしまう。
気づけば僕も鬼人も少女に見惚れながら話しを聞いていた。
そこで王がパンパン、と大きく手を叩く。
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