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「これでこの任務がいかに重要な事か分かったかな。
その上で聞くよ。
君達はこの任務を受ける覚悟はあるかい?」
いつも浮かべている柔らかい笑みとは正反対な厳しい表情に鋭い瞳。
僕は拳をきつく握り締めてゴクリと唾を飲み込むと覚悟を決めた。
「受けます」
緊張感のある張り詰めた声音が静かな部屋に響き、王が笑みを浮かべると鬼人も慌てた様に大きな声で言った。
「僕も、受けます!」
噛みそうな程早口だったがそれでも王は彼にも優しい笑顔を見せて隣にいる少女を僕らの前に出させた。
つまり王の前に少女が立つという状態。
「それじゃあ、説明してあげて。
女神くん」
さっきとは打って変わって軽い口調になった王の言葉に少女、「女神」は小さく頷いた。
「え?……」
硬そうな仮面をつけた鬼人から戸惑いを含んだくぐもった声が聞こえる。
かくいう僕も仮面のお陰で悟られずにすんでいるが面の下では目を見開き、丸くさせてだらしない表情をしていることだろう。
「……王、どういうことですか。
彼女が、女神?」
この華奢で背も小さい美しい少女が……?
女神は圧倒的な力と確実に敵を殺す事からつけられた二つ名だ。
彼女がそんな残忍な性格だとは思えなかった。
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