その軍艦は死神か

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俺と同じ『エンカウンター』の乗組員達の大半は、漂う艦艇の残骸にしがみつき、辛うじて海へ沈んでいく運命に抗っていた。 救命ボートが何隻かあったが、400名以上の乗組員を全て乗せるには数が極端に足りない。 夜半の水温は低く、海水に浸かっている乗組員達の体力は瞬く間に消耗されていった。加えて艦艇が沈んだ際に海へ流れ出した重油が、乗組員達の視力を一時的に奪ってしまうという事態まで発生している。 「フォール……俺はもう駄目だ……」 「何言ってんだジーク……諦めるな……!」 ……このまま全員が溺死してしまう運命も、そう遠くはないようだと思わずにはいられない。
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