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その声を聞き入れた水兵達の歓喜の声は、途端にその勢いを失った。
「う、嘘だろ……?」
「ほ、本当だ……旗を見ろ、日本の軍艦旗だ……!」
既に気力も体力も限界を超えていた俺達に、その絶望をはね除ける気力など何処にも残されていなかった。
ただ呆然と近付いてくる日本海軍の駆逐艦を見据え、自らの身体が機銃によって蜂の巣にされてしまうその時を待つことしか、もう出来ることが無かったのだ。
……ああ、神よ……とうとうあなたは我らを見捨て給うたか。
ならばせめて……私の命と引き換えに、この願いだけは聞き入れて貰えないだろうか。
どうか我が大英帝国軍と、そして愛する家族に……光輝く栄光と幸福があらんことを……
目の前にて停止した駆逐艦に見下ろされながら、俺は瞳を閉じ最期の祈りを捧げる。
……もう間もなく、俺はこの海で日本海軍に殺されるのだ。
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