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「……?」
……おかしい。
一向に銃弾の雨が降ってこない。
殺される覚悟を決めていただけに、予想していた運命が訪れないことを怪訝に思いながらゆっくりと閉じていた瞳を開き、駆逐艦を見上げた。
━━信じ難いものが突如駆逐艦のマストに掲げられたのは、その直後だった。
「……国際信号旗?」
日本海軍の駆逐艦が高々と掲げたのは、なんと万国共通の国際信号旗だったのだ。
それが意味する内容は……
『救助活動中』
というものである。
そして、それを見上げるフォール達の頭上に降り注いだのは、銃弾の雨ではなく……ロープや浮き輪。
日本兵が持ち出してきたものは機関銃等ではなく、我々の命を繋ぐ装備であった。
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