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1944年04月13日 18時59分
「ソナーに感あり、魚雷4!!2本ずつ、時間差で来ます!!」
「取り舵一杯!!回避しろ!!」
駆逐艦『雷』の艦橋は、緊迫感に支配されていた。
敵潜水艦からの魚雷を回避するため、空が薄暗くなり、海の漆黒が濃くなっていく中、急旋回に移る。
━━工藤さんと前田さんから預かったこの船……易々と沈めるわけにはいかん……!
生永邦雄艦長は、その意志を受け継ぎ、決死の覚悟で潜水艦との決戦に挑む。
「本艦左舷横を2本が通過!回避しました!」
「油断するな!まだ2本くるぞ!!」
第一波をなんとか回避するも、更に後続の2本が『雷』へと肉薄する。
……その2本が、手強かった。
敵潜水艦は、『雷』が魚雷の存在に気付き回避行動を取ると予測し、予め後続の2本を『雷』が取るであろう予測進路へと放っていたのだ。
そして『雷』は、敵潜水艦の網に引っ掛かる方向へと回避してしまったが為に、迫る残りの2本を最悪の形で迎えることとなる。
「左舷に後続の2本が接近!……さ、避けられませんっ!!」
「なにっ!?」
生永艦長の表情に焦燥が浮かび上がる。
『雷』は尚も魚雷を避けようと曲進を続けるも、雷跡はもう眼前にまで迫っていた。
━━駄目だ……当たる……!
「総員、衝撃に備えろぉぉ!!」
━━次の瞬間。
2本の魚雷が、『雷』左舷に命中。
轟音が轟くと共に、『雷』から業火が噴き上がった。
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