スラバヤ沖海戦

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1942年/昭和17年 02月27日 17時00分 インドネシア・スラバヤ沖 「……前衛艦より入電!」 艦橋内にて通信作業に没頭していた乗組員の一人が、突如声を張り上げた。 「『巡洋艦ヨリナル敵艦隊二遭遇。我、交戦ス』!」 更にその隣で、旗艦からの指示を受け取った乗組員が声をあげる。 「旗艦『那智』より入電!本隊も戦域へ急行せよとのことです!」 艦長席に腰掛ける一人の男は、それを耳に入れた瞬間、今まで固く閉じていた瞳をカッと見開いた。 身長185cm、体重90kgという大男は、鼻の下に髭を生やし、どこか柔らかい雰囲気を滲ませつつも威圧感に満ちた眼光を丸眼鏡の奥で迸らせている。 「工藤艦長、我々も続きましょう!」 その大男━━駆逐艦『雷(いかずち)』艦長、工藤俊作は、それに小さく頷いた。 「機関最大、全速前進!」
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