【AIR】

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【AIR】

 その町には夏が訪れていた。  バス停の前で人形を操るひとりの青年。  その周りには子供が二人だけ。  観客の興味を引くには、青年の芸は退屈すぎた。  子供たちは興味を失い、その場を走り去った。  青年は旅のひと。  彼の道連れはふたつ。  手を触れずとも歩き出す、古ぼけた人形。 「力」を持つ者に課せられた、はるか遠い約束。  そんな彼に、話しかけるひとりの少女。  人なつっこく、無邪気に笑う。  彼女との出会いをきっかけに、この土地での暮らしが始まる。  夏の情景に包まれて、穏やかに流れる日々。  陽射しの中で繰り返される、少女たちとの出会い。  夏はどこまでも続いていく。  青く広がる空の下で。  彼女が待つ、その大気の下で。
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