11人が本棚に入れています
本棚に追加
墨染め桜とは、淡紅色の桜の花弁が燻んだ白に変わった桜の事で古来より人の悲しみを受けると墨染め桜に変化すると言われていたがそれはあくまでも言い伝えてあり実際に桜が墨染め桜に変わる事はなかった。
しかし、現実に桜の木は何の前振りも無しに墨染め桜へと変わり人の命を奪っている。
命を奪うと墨染め桜は普通の桜へと戻り色を取り戻す。
墨染め桜の怪は、優雅に花見を楽しみたい平安京の人々を不安に陥れていた。
陰陽師としては優秀な翡翠は普段は単独行動任務だ。
それは、独自の術を隠したがる陰陽師特有の考え方から来ていた。
だが今回検非違使との合同調査班に加えられ普段は利用しない携帯電話を持たされ機嫌が悪かった。
翡翠は電話が嫌いだ。
こちらの都合等御構い無しに鳴り、今回の様に行動を制限されるからだ。
陰陽師は式で連絡を取り合う為、電話は不要だ。
しかし今回の相棒は式が使えないので強制的に電話を持たされた。
翡翠は、電話を懐から取り出すと無理矢理組まされた相棒に電話を掛けようとしたが、そのまま電源を切るとまた懐へ戻す。
そして、現場へと行く為に式符を袂から取り出すと念を込め式を呼び出した。
最初のコメントを投稿しよう!