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松本は顔をあげ美和の方を睨みつけ、両肩を掴んだ。『い…痛いっ』
『危ないじゃないの!走ってる車から降りようとドアを開けるなんて!』
『ドアは半分しか開けてないもんっ!』
『同じ事よ!事故に遇いたいの?バカじゃないの!』『バカバカって言わなくても』
『危ないってわかりきった事をするから、バカ、なのよ!』
『わかった、サヨナラ!今までありがとうございました!』
美和は開けようと左手をドアにかけたが、松本の右手がソレを阻止しようと美和の手首を握る。
『痛いっ』
『イライラさせないで!おとなしく乗っていればいいのよ!それに何!?【サヨナラ?今までありがとうございました?】
あたしと組んでのリメイクはどうするの!?仕事を投げ出す気!?』
『離して!痛いから力をいれないで』
『美和が聞き分けのある良い娘なら、離してあげるわ。だけど今の美和なら離すと逃げるでしょ!寮のあるH高に転校を決めるでしょ!』
『どこの高校に行こうと寮に入る事になろうと私の勝手じゃない!あなたに指図される筋合いはない…』
松本は、ぎゅうぅぅっっと肌に跡が残りそうなくらい力をさらに入れて美和を凝視した。
『あたしに指図される筋合いはない?よく言えたものね!いつもいつも助けてあげたのに、ねッ』
『助けて、って頼んだわけじゃないわ』
『頼んだわけじゃない?気になるのよ、美和が。あの男に美和の服を破かれたくないのよ。美和の胸を触らせたくないのよ』
美和はそのシーンを思い出してブルッと震えた。
胸は、あの男にはギリギリで松本さんが止めてくれた、捕まれたのはあの女だけに。
【頼んだわけじゃないわ】私ったらなんてひどい事を…
『ごめんなさい…頼んだわけじゃないってあなたに言える筋合いはないよね…かわいくない事言って…』
美和の目から涙が落ちた。『あなたに助けてもらわなかったら、処女じゃなくなってた…ごめんなさい、そしてありがとう…』
松本は手の力をゆるめ握っていた手首をさすった。
『痛かったね?ごめんね』『謝らないで、私が怒らせるような事を言ったから』『ううん、美和の体は小さいわ。手首なんて掴んでも指に余るくらい、それなのに力いっぱい握っちゃって痛かったね。H高…今でもそんなに会えてないのに美和が寮に入ったら寂しいから、あたしは反対かな』
『松本さん…』
『返事をしなきゃいけない時に思い出して』
『松本さん…』
『H高、今日は?』
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