《第10章・想いの向こう側…②》

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時間は4時30分になる頃に家に着いたが、松本は家の前では止まらずにマンション駐車場に車を止めた。 一言も会話もない車中に息苦しく美和は停車するなり車から降りた。 『ありがとうございました、さよなら!』 片想いが苦しくなるから…せつなくて泣いてしまいそうだから… 松本さんと離れなければ…やっぱりH高に行こう、寮に入れば松本さんを忘れられるかもしれない… 駐車場から空き地の横辺りで右腕を掴まれ美和はジタバタする。 『まだ話しは終わっていないわ!運転中は冷静さをなくしそうだから黙ってたけど』 イライラしてるのはわかっていた、運転中も前しか見てなく信号待ちにも私の方を見ようとしなかったから… 『やめて!離して!』 フワリと体が道路から離れ美和はまた松本に抱き上げられていた。 『あたしだってここんとこホテルでの撮影で疲れてんのよ!いい加減言う事を聞きなさい!話をするだけでしょ!』 抱いて部屋の前まで来ると松本は鍵を開け美和を中に入れ、『逃げないで』とクギをさし車へと戻り3日分の汚れ物の服が入ったバッグと仕事用のバッグを持ち部屋のドアを開ける。『H高に転校する事に決めたから…』 そう言う美和と、玄関のドアを開けた松本…同時だった為に、美和は慌てて携帯を切った。 『慌てて切らなくても話せば良いじゃない』 美和は玄関に松本がいる為に靴を脱いで部屋の隅に逃げる。 松本はドアを閉め鍵をしドアチェーンまでかけて、美和を睨みつけた。 『疲れてるっていうのがわからないの!?話をするだけ、って言ったじゃない!隠し事をするから逃げる事になるんでしょ! あんたも帰りたければサッサッとあたしの質問に答えれば言いのよ!』 『答える事なんて何もない!玄関が使えなかったら…』 美和は風呂場に入って窓を開け、窓枠に両手をかけた。 『風呂場から逃げるのが好きみたいね』 松本は美和のウエストに両腕をまわし、美和を窓枠から離れさせる。 『嫌っ!離して!』 松本は窓を閉め鍵をかけ、美和を抱えたままシャワーの前にきた。 『おとなしくしないと頭からかけるわよ、良いのかしら?ブラウスを中心にね』松本はシャワーをフックにかけ冷たく笑った。 美和の左手首を持ち口に持っていき人差し指から順番に舐めていった。 美和は目を閉じて動きを止め…る。 『感じるの…(笑)』 松本は美和を抱き上げ、部屋のベッドへと乱暴に投げた。
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