《第10章・想いの向こう側…②》

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『いろいろな見方の言葉…ただ嫌いか好きかで違うじゃない。今まで拓也は乱暴するような人だった?それによって見方が変わるものよ。ただ怒らせた拓也はわからないけど』 『松本さんは…いつもいつも優しかったです』 『めちゃくちゃにされたらあたしが怒ってあげるから、電話やメールして素直になりなさい』 『…はい』 『また電話するわ』 佳那子さんからの電話の後、松本さんのアドレスを出し迷っていた。 勇気を出して電話するも話し中だった。 残念なのかホッとしたのかよくわからない私がいる… 松本の携帯が話し中なのは長谷川編集長との電話の為だった。 『君のスケジュール調整は上手くいくんだが、吉井さんのスケジュールがね…。リメイクから写真撮りまでには最低1週間。寮に入るなら日程がわからないと、こっちも調整しづらいんだが何か聞いてる?』 『何も…』 『彼氏なんだろ?引き止めるかしてやんなきゃ…こっちは松本さん・藤永のマンションに吉井さんが近い方がやりやすいんだから』 『美和とは…』 『何?ケンカしてんの?ダメじゃないか、大人の君がリードしなきゃ』 『成瀬に姉貴に編集長まで(苦笑)』 『君らしくない…俺をも唸らせる冴えた頭はどしたの?好きな女にはタジタジかい?(笑)』 『タジタジって(苦笑)…』『藤永の新刊発売のサイン会も控えてんだから、上手く吉井さんと仲直りして出てくんなきゃ…頼むよ』 電話の後、美和に… 『11時…寝てるか微妙だわ…』 松本はため息をつき電話をするのをやめ、パソコンを開いた。 『デブ女…美和に謝罪とネグリジェの件を書け、と言ったのに書いてないし!都合の悪い事やめんどくさい事は…あの頃と変わっていないようね(怒)あんたのせいでどれだけ美和が迷惑してるか考えた事…ないでしょうねっ! 書き込み件数はあの頃より減ったけど、まだまだ書いてる人いるし』 松本はパソコンを閉じてベッドに入りため息をついた。 『えっと…H高を通るバスは…』 美和はいつものバスターミナルから1本乗って、別のバスターミナルにいた。 『1人で行くって言ったじゃない…1回往復出来れば自信がつくよね?』 《H高校前~H高校前~》私の他にH高の制服を着た人達がいた。 良かった~…私はついて行ってみる事にした。 制服を着た生徒達は私に気がつくとヒソヒソと話をし走っていく。 『家からもいつもの見慣れた街より、遠いなぁ』 その時後ろから…
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