《第10章・想いの向こう側…②》

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振り向くと、先ほどとは違うH高の制服を着た女子がホウキとチリトリを持って立っていた。 『部外者は許可なく学校に入る事は禁止よ』 『あの…※※先生のところに行きたいんですけど、私9月から寮に入るか迷っていて話を聞きに何度か来ているS高の生徒です』 『名前は?』 『2年の吉井美和です』 『吉井?美和?どこかで聞いた名前…』 そこへスマホを出し電話しながら歩く人が横ぎった。『スマホ…検索…サイト…書き込み…、《吉井美和》あの吉井美和?』 『あの吉井美和って?』 嫌な予感がした、だけど引き下がったら後々気になるから。 『週末ホテル・男の部屋に入り浸り・朝帰り・ネグリジェで男を誘う吉井美和でしょ?S高に居づらくなったからH高に来るの?』 『あの書き込みは私じゃありませんっ』 『とぼけるつもり?逃げてきたつもりでしょうが、H高でも吉井美和は有名よ。男好きなんでしょ?』 『違いますっ』 『写真も載ってるじゃない、嘘だと言われてもねぇ。わたくしは寮の風紀を任されてるの。悪い評判がH高や寮にたたない為に出ていってもらいたいわっ!』 背の高い痩せたボブの風紀委員は美和の肩を突飛ばし、美和は派手に転び手のひらをすりむいた。 痛…っ 松本さん…松本さん… ここにも書き込みを知ってる人がいるよ… 【どこに行っても一緒よ】藤永さんの言葉が思い出される。 『お願いします、※※先生と合う約束をしているんです。おられる場所に案内してもらえませんか?』 『さぁ…』 そこへ学校の関係者らしい人が通りかかり、私は※※先生のいる場所へと案内される事になった。 振り向くとあの風紀委員が私を見ていた。 『話してた風紀委員は2年、吉井さんと同じ学年だよ。一風変わった女子でね、風紀委員に情熱を注いでいるから夏休みでも、ああして制服を着て掃除してるんだよ』 『夏休みでも…?』 ※※先生から校舎・寮と案内を受け2時間ほどで先生と別れた。 『3時かぁ…バス停を探して順調に帰っても2時間はかかりそう』 美和はまたあの風紀委員に会わないように走ってH高の正門を出た。街の中心地から少し離れた場所にありH高は校舎・寮共に広い敷地面積をとっていてH高前のバス停から校舎正門まで5分は歩いてる感じ。 『車だとそれほど遠く感じないのに…何回か来てるとはいえ車で来るのとは訳が違うよ。お母さんに甘えれば良かった』 何故かジロジロ見られてる気がしていた。
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