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拓也は佳那子からの電話で、美和が1人で結論を出した事に苛立ちを隠しきれないでいた。
『なんだって美和はあたしに電話しないで1人で結論を出したの?あたしって美和にとってただの友達?』泊まり込みの仕事であるホテルの一室で、苛々と服をスーツケースに詰めながら佳那子と電話をしていた。『美和は…もう11時…寝てるかも』
次の日の午前中に美和は制服姿で家を出る。
H高前でバスを降りた時には12時をまわっていた。
『もっと時間かかると思って1時くらいに着けば良いと思ってたけど、お昼に着いちゃった。先生居るかなぁ?居なきゃ居ないで待たせてもらお…』
バス停から歩き始めて1分くらいで後ろから誰かに体を掴まれた!
右手の肘から手首までを掴まれ、左手は左胸の下当たりに当てがわれ…その手から離れようと。
また嫌がらせ?好奇の目?いつかの男子達?
『離して!離して下さいっ!』
だが手は美和がジタバタしても、微動だにせずに余計に力を込められ引き寄せられた。
『離して下さい!私急いでるから…』
だが…この体の感触は前に2回あったような気がして美和は離れようとジタバタするのをやめた。
この感触は…この香りは…松本さん…!
しないで!
彼女がいるのにこんな事…しないで!
せつなくなるから…!
『離して!離してってば』美和は松本の手を振りほどこうとジタバタと体を動かした。
『美和、美和!わからない?松本拓也よ』
知ってる…気付いてる…
『離して!』
『今日は違うリボンなのね、あたしがあげたピンクのシュシュはしないの?
もうあたしの事なんてどうでもよくなったんだ!?』『この手を退けて!離して!』
『美和!離さない!聞き分けのない美和は、手を離すとH高へ走って行くでしょ!だから離さない!』
『離して!離してってば』松本は美和には見えないが首をふって手に力を込めた!
『逃がさない…離さない…もう何処にも行かせない!』
美和は背中に松本の体温を感じ両手の感触にもドキドキしていた…ーーー。
何よりも松本の言葉にせつなくなり泣きそうになっていた。
『つらくなるから離して』力なくささやく美和の言葉に松本はキュンッとし一瞬手の力がゆるんだが、また力を込め美和を引き寄せる。
『離さない…離さないから…』
松本は右手を掴んでいた手を美和のあごに当て美和の顔を上に向かせ、顔を近づけ唇に唇をそっと当て想いが伝わるようにキスをした…!
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